2017年10月22日 (日)

佐藤大輔『帝国宇宙軍1』

Empireofdawn 佐藤大輔『帝国宇宙軍1』(ハヤカワ文庫JA)を読みました。「新シリーズ初巻にして最終巻」である。

 2017年3月に、53歳目前で没した著者。彼の小説は、かつて『地球連邦の興亡』新書版4冊を読んだだけ(没後、加筆した文庫版4冊&スピンオフ『宇宙軍陸戦隊』を購入)。他には、原作を担当されたゾンビ漫画『学園黙示録 HIGHSCHOOL OF THE DEAD』のTVアニメ版を観たぐらい(透過光が眩しかった……)。

 おもしろい。でも、ついに戦闘が“始まりそう”と言う場面で終わり。入念にセットアップして、いよいよこれからってところで……。
 『銀河英雄伝説』への諧謔を感じさせる、本作の銀河帝国。加えて、ヤン・ウェンリーへの諧謔を思わせる日系の帝国軍人(大尉スタート)。建国700年超ながら実戦経験に乏しい軍にして、戦わずに──事故的に攻撃されたが──英雄視される(笑)。
 描かれる状況は、尖閣や南沙諸島の戯画。現実に足し引きし、だから現実ではこうすべしとは理解/曲解されにくい(?)筋書き。加えて、やはり戯画化した政治体制のヴァリエーション。
 兵器を含むSF要素に、突出したアイディアは無し(ワープは違うかも)。操艦や艤装など現実をなぞりつつの拡張は、リアリティ充分だけど。それらが淡泊だった、『銀英伝』と違って(笑)。

 帝国暦726年(西暦2837年)。帝国軍コルベット艦が、HUL(ヘレネス統一体)が実効支配する宙域で攻撃(対宙レールガン?)を受けた。近距離に居たHUL駆逐艦の、システム不具合による誤射により。元々は帝国の領宙だが、さしたる意味は無かった宙域。だがHULが不意を衝いて基地を建設して以来、互いの軍が控えめに示威し合う場となっていた。艦内も被害を受け、艦長は即死(?)。自動的に指揮権を移譲された、先任将校(副長)の天城大尉。事を荒立てんと、彼は艦の帰還を命ずる。攻撃してきたHUL艦からの、「人道的」救助の申し出を断って……。
 西暦22世紀初頭。前世紀に発見された(?)、いわゆるワープ航法。それを用い、同時期に太陽系を出た複数の「文明疎開団」(喫緊の、地球滅亡の危機だったわけではない)。だがワープ技術が確立されておらず──もちろん無人機で試験していたが──、銀河系ともどことも知れない星域にワープしてしまった。目的地とは違う場所で、地球の場所も分からず帰還は不可能。だが何故か、複数の疎開団が“比較的近く”の星系にワープしていた。それぞれの疎開団が、入植地を定め国家へと成長。その最大勢力たる銀河帝国──そこが天の川銀河かも分からないのに(笑)──を含め、現在5つの勢力が近傍の人類領域を構成していた。
 冗談の如き経緯で、皇帝を擁し設立された銀河帝国。議会は無いが、技術と長寿命化(帝国では250歳超)により実現された国民投票(帝国臣民決議)──直接民主制の如き政治参加。それにより専制に走れ得ない、皇帝(ほぼ象徴)および為政者たち。そんな比較的ゆるやかな統治ながら、理想や主義に走った近傍他国家よりも繁栄を得ていた。古代ギリシアに則を求めた、HULなどと比べて。
 比較的のん気ながら、排外的な意見も無くは無い帝国。世論を鑑み、しっぽを巻いて逃げた(ように見える)天城に下る懲罰的人事。その徴募局で入隊勧誘に励むも、かねてから希望の予備役編入を願い出る彼。だが意に反し、少佐への昇進と駆逐艦艦長への任命を受ける。
 120年前に建造され、80年休眠中だった駆逐艦。主エンジンを始め、武装から外装から近代化改修を施される艦。お下がり品も多く、それら重要パーツに付いた癖を補正するため、入念に繰り返される試験。配備前の最終訓練(?)のため、単艦おもむいた宙域。そこには、やはり世論を鑑み領宙拡張を目論むHUL軍が暗躍していて……。

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2016年10月20日 (木)

鈴木邦男『〈愛国心〉に気をつけろ!』

Aikokushinnikiwo 鈴木邦男『〈愛国心〉に気をつけろ!』(岩波ブックレット)を読みました。
 前に紹介している作家の薄い本(笑)です。約70ページの。

 おおむね、いつもの意見どおりの鈴木さん。声高に他人に押し付ける「愛国心」は本物ではなく、逆に国を汚すとなると言う。
 そんな入門的な薄い冊子ながらも、下記の記述などが気になりました。

●恐らくは日本会議の中枢メンバーを、「僕の学生時代の仲間たち」と言及
 鈴木さんや現「生長の家」とは反対の立場で、改憲を“領導”しているらしい。
●かつて著者が居た「生長の家」学生道場(寮)は、道場長が軍艦の艦長だった人だそう。
●1960年代、「明治憲法復元」運動が有ったそう。
●小林節さんの改憲案(1992年)
 近年も話題の小林さん。かつての改憲案では、元号の廃止や「君が代」に代わる国家の制定、天皇の男子限定の廃止を唱えていたそうな。
●日韓が仲が良すぎた1980年代
 赤尾敏さんが(日韓友好のための)竹島爆破をうそぶいた同時代、1985年に訪韓した鈴木さんら右翼人は、政・軍の要人らに大歓迎されたんだと。
●三島由紀夫の改憲案
 徴兵制の否定や、女帝を肯定したんだと。
●三島の自衛隊への憂い
 「魂の死んだ武器庫」になり「アメリカの傭兵」と化すと、その行く末を憂いていたそうな。

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2016年7月 7日 (木)

酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部』

Yowakoumei04 酒見賢一『泣き虫弱虫諸葛孔明 第四部』(文藝春秋)を読みました。
 前に紹介している小説の最新巻です。2年4ヶ月ぶりに、2014年11月に刊行された。

 あい変らず面白くも、切なさ炸裂(?)の本巻。帯にある通り、関羽・曹操・張飛・劉備ら主要人物が次々と死んでゆく……(ほう統・魯粛・黄忠らも)。
 章立ては、「“鳳雛”劉備軍に入団す」から「劉玄徳、白帝城に崩れ、孔明、おおいに泣く」まで。劉備が蜀(益州)を取り三国時代となるも荊州を失い、義兄弟3人いずれも半ば自業自得で退場してしまう……。

 創作だろうけど、黄氏(孔明の夫人)と孫氏(劉備の夫人)が「姉妹のように仲良く」なる息抜き(?)が微笑ましかった。孫氏は少しして、兄である呉の孫権の策略で荊州に居られなくなるけど。
 関羽の死に際し、後世の(文字どおり)神格化についての記述が2ページ半ほど。かつて著者が、中国エッセイ本(?)『中国雑話 中国的思想』で詳らかに書いてますけど。

 蜀を取り、(魏の曹操が死んで息子の)曹丕が皇帝となったことを受け、自らも皇帝を宣した劉備。それに伴い孔明は丞相(宰相の如き?)となり、名実ともに一国のナンバー2に。それから2年ほどで劉備が死に、望まぬ(?)実質ナンバー1になってしまう。
 しかし劉備軍の英雄たち(や武将や一般兵多数)が死んでしまい──趙雲を除いて──、果たして蜀は生き残れるのか……。

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2016年4月10日 (日)

月山了衛『機龍警察』シリーズ第1~3弾

 月山了衛『機龍警察』シリーズ第1~3弾(早川書房)を読みました。知人にお借りして。

 リアルな(?)警察小説をベースに、パワードスーツ(の如き)・歩兵戦闘・政治(省庁内/外・国内)・外交・テロル等でデコレーションした作品かしら。ミステリー要素は別として、読者のベタな期待を裏切らない展開の。あるいは、『ワイルド7』へのオマージュとも思われる(ボスの裏切りが有るのか?)。
 架空メカである機甲兵装は、パワードスーツの如きもの。ボトムズの如き乗り込んで操縦するものから始まり(?)、主役たちがボディ各パーツをはめ込んで着る如き最少3mサイズの「龍機兵(ドラグーン)」にまで進化している。コンセプトや作中の扱いとしては、『ガサラキ』のTA等から伝奇要素を除いた感じを思わせる(謎めいた龍機兵は除く)。

Policedragoonシリーズ第1弾『機龍警察』
 架空の警視庁特捜部──他称「機龍警察(ポリス・ドラグーン)」の、(作品としての)お披露目を描いた本作。機甲兵装を用いた国内犯罪に対して、外国人を含む傭兵・元犯罪者(経歴は白)たち3人を「突入要員」──龍機兵の装着者として雇った組織の。
 突入要員3人の中で比較的フィーチャーされたのは、人種(?)と国籍“は”日本の姿俊之(30代男性)。シリーズ第1弾ゆえ(?)、続く2作の残り二人ほどの掘り下げは無い。
 その筋では有名な、超一流の傭兵であるらしい姿。でも私は、元モスクワ刑事ユーリ・オズノフの方がチャーミングだと感じました。分かりやすく鬱屈していているところが(笑)。

Policedragoon2シリーズ第2弾『機龍警察 自爆条項』
 北アイルランド出身の、ライザ・ラードナー(20代女性)をフィーチャーした本作。元々は北アイルランド独立テロル組織の「殺し屋」で、オズノフと違って内面の葛藤を窺わせない無表情・寡黙な。架空の旅行記が登場し、ベタな内容ながらもほっこりする(元殺し屋にも)。
 また本作からの背景描写として、チャイナを悪く描き過ぎかなーと。かつてのスパイ小説の、CIA・KGB・MI6・モサドの如き便利さゆえかも知らんけど……。

Policedragoon3シリーズ第3弾『機龍警察 暗黒市場』
 ロシア人ユーリ・オズノフ(30代男性)をフィーチャーした本作。刑事でありながら殺人容疑者に仕立て上げられ、国外逃亡しアジア裏社会で犯罪に関わっていた(主に機甲兵装つかいとして?)。
 ベタながらも、緊急装着・強制脱着や手錠のシーンは燃えるねぇ(笑)。

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2016年2月 1日 (月)

朝日新聞出版×PLANETS 文化時評アーカイブス 2014-2015

Archives20142015 「朝日新聞出版×PLANETS 文化時評アーカイブス 2014-2015」(朝日新聞出版)を読みました。
 前に紹介している文化批評同人誌「PLANETS」人脈の、“主に”MMやニコニコ動画(全体の過半が前者)などPLANETS発信ネット媒体、月刊誌「サイゾー」や他雑誌に掲載された座談・インタヴュー、および新たな座談・インタヴューなどを収録した冊子です。

 やはり、あまり得るものが無かったかしら。TVドラマ、次いでアイドルへの言及が多くて……(重視度は後者かしら?「(アイドルの)現場」って)。

 「ガンダムが好きな10代の若者に会ったことがない」──『ビルドファイターズ』も含めて──と、日本放送アナウンサー吉田尚記さん。宇野さんは『Gのレコンギスタ』を、従来の冨野作品と比べてハイカルチャー的になってしまった──オープンネスが減じたと。また、「ガンダムが団塊ジュニアにとって司馬遼太郎のような」存在になってしまったと。
 別の対談では、『UC』の幻のニュータイプ条文を「完全な優生思想でしょう」と指摘する宇野さん。

 kz(livetune)さんへの音楽インタヴューは、ご本人と作品(「Tell Your World」他)をほとんど知らないけど面白かった。ボーカロイド音楽などで作品そのものに隙がある場合、バックボーンの無さ(≒ボーカロイドPではない)を「音楽史的参照点がない」と非難されるのだろう旨(「リスペクトが無い!」とか?)。EDMとポップ音楽との親和性は、海外に比べて日本は低く感じる旨(是非は無い)など。

 最後の吉田さんとの対談では、宇野さんが「今ネットは、うちに籠もるためのものじゃない。むしろリアルと結託しすぎていることのほうが問題なんですよ」と。「インターネットが結局、下からの全体主義が跋扈して何も生めない場所になってしまった」とも。
 なんだかスマートフォンのマナー問題みたいな話で、濱野智史さんと以前していたアーキテクトの再設計(ネット投票など?)云々よりも萎えちゃうけど……(笑)。

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2015年10月22日 (木)

2015年ノーベル文学賞

 2015年ノーベル文学賞の受賞者の著作──スヴェトラーナ・アレクシエーヴィチ『戦争は女の顔をしていない』を、わたし読んでました。すぐには気づかず、発表1週間後ぐらいに新聞の著作リストを見て分かったんですけど(笑)。
 当時はAmazonリコメンドを有効にしていて、その最大の恩恵が本書だったかも。他の著作も読みたいと書いたものの、やっぱり読まなかったけどね(笑)。

# と言うか、本を1年8か月以上も読んでない……。

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2014年7月17日 (木)

別冊サイゾー×PLANETS 文化時評アーカイブス 2013-2014

Archives20132014 「別冊サイゾー×PLANETS 文化時評アーカイブス 2013-2014」(サイゾー)を読みました。
 前に紹介している文化批評同人誌「PLANETS」人脈の、“主に”月刊誌「サイゾー」や他雑誌に掲載された座談・リヴュー、ニコニコ生放送やMMなどPLANETS発信ネット媒体、および新たな座談・インタヴューなどを収録した冊子です。クロス短リヴューが、今回から無くなった。

 やはり、あまり得るものが無かったかなあ。ジェネラリストを自称(!)する宇野さんからは……(笑)。

 各ジャンル毎──映画・TVドラマ・アイドル・アニメ・マンガ・音楽・ゲームの総括座談会(小説のは無し)では、前者4つのみに宇野さん名がクレジット。でもゲームで一回のみ発言してるので、名が無くとも全参加してたのかも。
 映画では、『ゼロ・グラビティ』が絶賛されてました。アトラクション/アクティビティに対抗しうる映像が胆のコンテンツなので、ストーリーが薄い云々──旧来の映画文法のみで批判するのは誤りであると。
 アニメでは、宇野さんは大作映画および超メジャーTVアニメぐらいにしか触れてません。『風立ちぬ』『かぐや姫の物語』『[新編]まどか☆マギカ』や『進撃の巨人』などの(あと、木皿泉さん脚本『ハル』とか)。発言量も少なく。
 音楽では、ボーカロイドのファン層が若年層にシフト──特に少年女子が増えたと。「カゲロウプロジェクト」とかで。

 作品ごとの対談/座談は、大半で宇野さんがホスト参加。
 『かぐや姫の物語』については、井上伸一郎さん──元「アニメック」副編集長(笑)にしてKADOKAWA代表取締役専務の──と対談。
 『進撃の巨人』(原作漫画)については、宇野さんは前半まで──巨人の謎や真の権力者が不明であった──が面白かったと。でも、今後も「興味深く見続けたい」と。
 『色彩を持たない多崎つくる~』については、アイロニカルでない小市民的なる旨でバッサリ否定。同作を読んでないから判じ得ないけど、小市民感情を非アイロニカルに書いちゃ駄目なのかなあ?

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2014年1月23日 (木)

菊地秀行『吸血鬼ハンター26 D-シルビアの還る道』

D26 菊地秀行『吸血鬼ハンター26 D-シルビアの還る道』(朝日文庫ソノラマセレクション)を読みました。前に紹介している小説の最新巻です。

 <帰還者>である辺境の娘の護衛が、“D”の今回の任務。<帰還者>とは“貴族”に仕えさせられ吸血もされずにいて、唐突に気まぐれか何かで「暇を出された」人間のこと。しかし偏見の目で見られ、生まれ故郷に居ついた<帰還者>は皆無であると言う……。
 また、まったく別の<帰還者>も少しく登場。人間・貴族の文明が興る前の超古代に、遠い宇宙に出かけ還ってきたと言う(笑)。

 今回の主敵は、<帰還者>の元主である亡くなった公爵……の息子。遠地で、大学(!)に学んでいたらしい。<都>を人間に奪われたのに、まだ<貴族>の大学が有ったんだねぇ……(笑)。
 それら人物およびギミックとも、今回は少し弱かったかなあ。“D”の謎の欠片も、開示が無かったようで。初披露と思しい、遠く刀身が届かない敵を斬撃する秘技が出ましたけど。繰り出すと、すごく消耗しちゃう(笑)。

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2013年12月22日 (日)

山本弘『MM9-invasion-』

Mm9ii 山本弘『MM9-invasion-』(東京創元社)を読みました。知人に頂いて。
 前に紹介したSF怪獣小説の第二弾です。2013年5月に、第三弾も出ている。

 前作は、特撮TVドラマの如き連作小説でした。対して本作は、映画の如き一つの物語となっていました。全体を貫くSF縦軸──「神話宇宙」対「ビッグバン宇宙」は、前作と共有していますけど。
 その構成の変化を受けてか否か、より物語性──エンターテイメント色を強めています。健全な少年男子を主役に立て、意図的であろうベタな展開をさせて。ボーイ・ミーツ・ガール&腐れ縁の幼なじみ女子な(笑)。

 新要素は、宇宙怪獣と付随して宇宙人。地球の怪獣・妖怪と同じく、いずれも神話宇宙の住人である。
 ビッグバン宇宙の住人は所謂“物理法則”──われわれの知る相対性理論などの──に制約されるので、光速を超えられず相互に出会うことはまず無い。よって地球に来る──異星人と接触しうる宇宙人は、神話宇宙の住人であると。比喩ではなく、天動説世界の住人でもあり得る様な。ゆえにUFOは、物理法則を無視した動きをするのだと。
 しかしビッグバン宇宙の物質文明は、発展の果てに「到達不能領域」を作ってしまうことが多いと。神話宇宙の知的生命体が近づけない、侵入不可能な領域を。それが消滅するまで、領域内を観測したり交信したり出来ないと思しい……。

 2006年のMM9──クトウリュウによる怪獣災害から6年。そのクトウリュウと闘い倒した“ヒメ”は、爾後しばらくから仮死状態となっていた。そんなヒメの管理が、気象研究所から自衛隊──つくばから霞ヶ浦に移管されようとしていた。
 しかし、ヒメを移送中のヘリコプターが墜落してしまう。なにがしかの飛来物が衝突して。ほぼ時を同じくして、つくばに住む一騎──気象研の研究員を母親に持つ──の脳内で助力を求める声が聞こえ始める。霞ヶ浦の方角へ来てなる旨の。それに呼応し声の元に辿り着くと、巨大化したヒメと蛇タイプ怪獣が闘い始めた。脳内の呼び声──テレパシーの主は、覚醒したヒメであったのだ。
 一騎のテレパシー助言も有って、本調子じゃないながらも怪獣を倒したヒメ。等身大に戻ったヒメによると、蛇タイプ怪獣は宇宙怪獣であったらしい。誘導され飛来し、ヘリコプターにぶつかって来た。そして現在のヒメには、ジェミー──高次元意識体の如き宇宙人が憑依しているのだと言う。ある宇宙人による地球への侵略を感知したジェミーが、それを阻止せんと介入するために。人間との言語コミュニケーションが不可能であったヒメだが、二つの人格が一時的に融合して知能向上(ジェミーにとっては知能低下)を果たしているのだと。
 蛇タイプ怪獣は、どうやら敵の本命ではないらしい。またジェミーは、90年ほど前(1918年の宇宙人“大侵略”時?)に日本に来た──人間女性に憑依した経験が有るらしい。しかし今回のヒメでは行動の不自由が大きいため、唯一テレパシー交信が可能な──波長が合う(笑)一騎に助力を求めたのだと。おぼろげなジェミーの予知に従い、二人は誰にも告げず東京へと向かうが……。

 エピローグは、次作のプロローグと思しいもの。見た目は15歳ぐらいの、美少女巫女(笑)が登場する。どうやら彼女が、以前にジェミーが憑依した相手であるらしい。
# その新たなD勢力とA勢力が連携し、C勢力と連携していたB勢力が土壇場で……と言うベタな展開になるのかしら?(笑)

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2013年12月 8日 (日)

カラー版 焼肉べんり事典

Yakinikujiten 『カラー版 焼肉べんり事典』(宝島新書)を読みました。「焼き肉が大好き!」と胸を張って言える人間ではありませんが、年に何回か食すので勉強のために……(笑)。

 ブランド肉や部位の説明、適する味つけ/焼き加減などについて書かれている本書。そんな中から、なるほどと思ったトピックを以下に抜き書きします。

 牛
●「和牛」とは明治以降に、日本在来種と外国種を交配させて作られたもの。
●「F1(一代交雑種)」とは、メス乳牛とオス肉牛を親に持つ牛である(肉牛の場合)。酪農家が、並行して飼育したりする(交雑種・乳用種のブランド牛も有る)。
●「ブランド牛」──日本で開発された銘柄──すなわち「和牛」とは限らない。
●「松坂牛」は当該種の中でも、未経産のメス牛のみを指す。
●ユッケがOKでレバー刺しがNGなのは、「内部にも腸管出血大腸菌がつくことが確認された」から。

 豚
●食用ぶたは、大半が「交配豚」である。純血の「地豚」ではなく。
●「三元豚」とは、3つの品種を交配させた──つまり2回かけ合わせて産まれたF1である。
●「SPF豚」とは、マイコプラズマ肺炎など「特定の病原菌」に感染していない豚のこと。無菌の帝王切開で出産させて特定の衛生管理の元で飼育するので抗生物質を与える必要──病気を防ぐための──が無く、ゆえに有利な条件で飼育し得る。
 なので全くの無菌または寄生虫を持たない訳ではなく、「充分な加熱が不要」なる旨は誤解である。

 鶏
●ブロイラーは特定F1の肉用若鳥の総称で、生後7~8週間で出荷が可能。他では通常、生後4~5ヶ月かかるのに対して。
●「比内鶏」──銘柄鶏「比内地鶏」ではなく地鶏の──は、縄文時代から東北に生息していた固有種。
●「砂肝」は、2つ有る胃の1つ。

 羊
●ラム(子羊)とマトンのボーダーラインは、国によって違ったりする。(日本では12ヶ月ぐらい)
●ジンギスカンは、大正時代に考案されたらしい。

 その他
●ブランド肉は、牛は西高・豚は東高と言われる。(鶏は、どちらとも言えない?)

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