2017年2月19日 (日)

河瀨直美『あん』

 日本/フランス/ドイツ映画『あん』(2015年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。
 前に紹介している河瀨直美さん監督の映画です(脚本も)。ほぼほぼ東京都東村山市が舞台の。(音楽関係が、フランス担当っぽい)

 重い題材ですが、淡々とした抑えめの演出。お涙ちょうだいとなる、決定的シーンは避けて。以前の同監督『萌の朱雀』『殯(もがり)の森』の如き、映像“のみ”で心を揺さぶるエモーショナルなシーンも無し。それだけに、抑えめの悪意──無理解・無関心が突き刺さる(浅田美代子さん、お見事!)。そして、抑えめの善意──関心・コミットメントも。
 美しい映像が印象的だった、『萌の朱雀』と『殯(もがり)の森』。それらに対し、久米川駅周辺の冴えない光景(笑)──桜並木はいいけど──が過半の舞台である本作。逆に美しい映像の舞台となったのは、後半で訪れる同市内のハンセン病療養所。園内の木々と、古そうな平屋の群れ。本当の末端欠損者“も”出演する、おだやかそうに“見える”元患者たちの姿をさり気なくもワザとらしく(?)映して……。
 『萌の朱雀』『殯(もがり)の森』と違って、著名キャストらが主/助演した本作。最も素人くさかったのは、主役らと関わりを深める女子中学生役。その内田伽羅さん、(永瀬正敏さんと)W主演した樹木希林さんの孫だったのね。いい雰囲気で良かったけど、若かりし頃の祖母の方がルックスいいよね(笑)。(母親は、観たこと無い)

 桜が満開の季節。気だるげ(≠いい加減)に黙々と、どら焼きを独り製造・販売する中年男性(永瀬正敏)。小さなビル1階の店を任され、直ぐ近くの部屋で寝起き。ほぼ部屋と店を往復するのみの、半径数百メートルで暮らしているらしい。
 そんな店に、アルバイト募集の張り紙を見て老女(樹木希林)が申し込んでくる。時給600円と安いので、年齢不問でしていた募集。だが流石に、老女が76歳と聞き断る中年男性──店長。あしらうように、どら焼きを与えて帰してしまう。
 再び来店し、どら焼きの感想を述べる老女。曰く、皮は悪くないけど餡が良くなかったと。そして自作の餡(粒あん)が入ったタッパーを、店長に押し付け帰ってしまう。一度は捨てるも、餡をなめてみる店長。その美味しさに驚き、何度も舐めてしまう。
 また老女が来店し、店長は餡の感想を伝え勧誘。餡だけでも作ってほしいと。喜んだ老女は、翌日から来ると言う。11時開店に合わせ、餡の仕込みに日の出前から出ると。店長一人──業務用の餡を用いると、9時から仕込み開始だったのに(笑)。
 50年以上、餡づくりしていたと言う老女。だが若い頃の病気で指が曲がり、力仕事は出来ない。店長も早起きし、餡づくりを手伝い・教わる。小豆への感謝を述べ、じっくり丁寧に餡をつくる老女。うんざりする店長だが、出来立ての餡&その餡を用いたどら焼きの美味しさを喜ぶ。曰く、甘いもの苦手だけど食べられると。その言い様に、あきれつつ喜ぶ老女であった。
 餡が変わって、店はクチコミで近所の評判に。小規模ながら行列が出来、仕込み分が無くなり完売してしまう時も。そんな日々の夜。店長が独り片付け中、オーナー女性(浅田美代子)が店を訪ねてくる。自分の友人も来店し、老女の曲がった指を見て「らい病(ハンセン病)」じゃないかと言われたと。(かつて特効薬が無かった時代の)末端欠損者の話などをし、店に悪影響が出るんじゃないかと。やんわり抗議する店長に、かつて自分たち夫婦が何がしかの慰謝料を肩代わりしたと述べるオーナー女性。無神経に手をアルコール消毒し、店を任せているからと述べ解雇を促す。
 やるせなさに憤り、飲んだくれる店長。翌朝寝坊し、老女が電話をかけてくる。二日酔いの為か、体調不良を理由に休むと告げる店長。餡だけ仕込み帰ると、了承する老女。だが仕込みが終わるころ、店外に開店を待つ客が。不自由な手で不出来ながらも皮を焼き、接客もして店を切り盛り。午後(?)店長が遅出すると、まだ老女の姿が。本日2度目の餡づくり中で、ことの顛末を話し朝に仕込んだ分は使い切ったと。ひどく疲れてそうだが、嬉しそうな老女。それを見て吹っ切れ、好きなだけ働いてくださいと述べる店長。今日のように、良かったら接客もしてくれと。
 だが裏腹に──いや懸念通り、客が激減してしまう。オーナ女性の友人が、あるいは別の誰かが無理解な噂を流したのか……。そんな客足が途絶えたある日、店長は老女に早上がりを促す。悪意ではなく、おそらく善意で。だが察したらしい老女は、間も無く(?)店を辞めてしまう。
(中略)
 再び桜が満開の季節。店長は花見で賑わう公園で、どら焼きの露店を出していた。かつての下を向いた仏頂面ではなく、胸を張り顔を上げて。おそらく餡は、老女の作り方をベースにして……。

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2017年2月12日 (日)

ジョン・ウー『フェイス/オフ』

 アメリカ映画『フェイス/オフ』(1997年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。前に紹介しているジョン・ウー監督の映画です。

 娯楽作としては、とても面白かった。都合のいいディック的(?)医療技術──本作の根幹アイディアである──&やたら爆発し過ぎが、やや気になったけど(笑)。
 そして、やはり白バト乱舞が(笑)。「ここで?」と言う場面なので、心象風景かもしれない……。

 FBI捜査官ショーン・アーチャー(ジョン・トラボルタ)は、請け負いテロリストのキャスター・トロイ(ニコラス・ケイジ)を空港で追い詰める。アーチャーにとってキャスターは、6年前に自分の命を狙い、その巻き添えで幼い息子を殺した宿敵であった。死闘の末、アーチャーはキャスターを殺した……はずだった。万事解決と安堵していたアーチャーに、驚くべき提案がなされる。キャスターは、昏睡状態で秘かに生かされていたのだ。
 キャスターの仲間が持っていたZipディスク(笑)を解析したところ、LAの何処かにテロルらしきが時限セットされたと判明。アーチャーも、死闘時にキャスターが「疫病をばらまく」旨を言っていたことを思い出す。同時に捕らえたキャスターの弟を尋問するも、口が堅くテロル情報を引き出せない。そこでアーチャーの同僚2人は、アーチャーが刑務所に潜入しキャスター弟から詳細情報を得る作戦を立てる。それに際して、最新外科技術を駆使して文字どおりキャスターからの“顔面移植”(および肉づきの調整・声の変換など)を行っての。
 もちろん、提案を拒否するアーチャー。再びキャスター弟への尋問を行うも、やはり情報を得られない。かろうじてキャスターの昔からの仲間──今回の逮捕劇には関わってない?──から、「(実は仕かけてから11日後である)18日はLAから逃げろ」なる旨のみを言わていたと聞き出す。期日が迫り、やむなく極秘作戦を受け入れるアーチャー。元の顔面は保存され、済んだら戻すと(提案当初に)説明を受けて……。
 術後、計画どおり収監されキャスターに“成りすました”アーチャー。キャスター弟と接触し、なんとか仕かけた場所の情報を得る。だが少し先んじて、昏睡状態だったキャスターが覚醒。仲間に連絡し、メイン執刀医を拉致。アーチャーの顔面を自分に移植(&もろもろの調整を)させ、メイン執刀医およびアーチャーの同僚2人を殺害して極秘作戦を隠滅。アーチャーに成りすましたキャスターは、司法取引を称し弟を刑務所から出す。当初の目的の情報が無駄となり、刑務所に取り残されキャスターに“された”アーチャーは……。

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2017年2月 5日 (日)

ウィリアム・フリードキン『エクソシスト ディレクターズカット版』

 アメリカ映画『エクソシスト ディレクターズカット版』(2000/1973年)を観ました。スターチャンネル1で無料放送をやっていたので。

 『エクソシスト』、初めて観ました。て言うか、ホラー映画を生涯で恐らく5本も観てないけど(笑)。
 途中までは、慎重に不可知論的アプローチで描いていた印象。医者の理屈づけも、そうかなと思ってしまう。でも焦らしに焦らした後、“現象”を決定的に描いてますねぇ。正体(?)は、分からずじまいだけど……。

 ブリッジ歩き(?)は、「これかと!」喜び且つ驚きました。首の真後ろ向きは、さすがにギャグに見えたけど。でも最も驚いたのは、カラス神父への電話の呼び出し音でした(笑)。
 ピアノのアルペジオ(?)が特徴的な有名BGM、本作のだったのね。『ゴッドファーザー』の“あの”BGMと同様に、本編中さり気なく1回しか流れてないけど(笑)。

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2017年1月22日 (日)

クエンティン・タランティーノ『ジャッキー・ブラウン』

 アメリカ映画『ジャッキー・ブラウン』(1997年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。

 タランティーノ作品、初めて観ました。さすがの面白さですねぇ。本作は名前すら知りませんでしたが、非情に素晴らしい。知的かつボンクラで(笑)。
 一見チープなスクリーン2分割や、サイレント映画の幕間の如きサブタイトル表示。同一シークエンスの繰り返し3シーン等、説明的かつメタ的な構成。なるほど、映画通が好みそう(笑)。

 ジャッキーは、44歳の黒人女性CA。過去に麻薬密輸で実刑を受け、いまは三流以下のメキシコ航空会社に勤めている。そんな彼女が、メキシコからの(届け出が必要な額である)現金5万ドルの持ち込み及び麻薬の密輸で逮捕されてしまう。警察が武器密輸を捜査する一環で、ジャッキーが運び屋であるとの自白情報を受けて。
 ジャッキーを売ったのは、別件逮捕された(小規模な?)武器密輸業者の一人。その逮捕者の相棒──武器密輸ボスが、仕事でメキシコと行き来するジャッキーに運ばせていたのだ。さらなる自白を恐れたボスは、まず逮捕された相棒を保釈させ口封じを行う。
 一方ジャッキーは、警察が持ちかけた司法取引を拒否。そして自分を売った男の顛末を知り、彼と同じくボスからの保釈を受ける。やはり口封じを感じ取った彼女は、最初の危機をガン&交渉により逃れるが……。

# サミュエル・L・ジャクソンが痩せてる!ちょっと腹が出てるけど(笑)。

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2017年1月 8日 (日)

ペニー・マーシャル『レナードの朝』

 アメリカ映画『レナードの朝』(1990年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。

 「実話に基づいた物語」だそう。それを差し引いても、素晴らしい映画でした。『カッコーの巣の上で』や、小説『アルジャーノンに花束を』を彷彿とさせる。
 ミスターいい人アクター(?)ロビン・ウィリアムスと、ミスター憑依アクター(?)ロバート・デ・ニーロが出演。特に後者は(正しいかは兎も角)見事な病状の表現と、おむつ姿まで披露して。

 1969年ブロンクス。ある療養型の病院に、医師セイヤー(ロビン・ウィリアムス)が職を求めに来る。ずっと研究畑だったらしい彼だが、人手不足ゆえ臨床医として採用される。
 セイヤーは、慢性病患者たちの担当となる。患者たちは、ほとんど自力で動けず意思表示も出来なかった。曰く「魂の抜け殻」で、既往診断では精神活動が無いとされていたらしい。だが新たな同様の女性患者を診たところ、反射的(≒無意識?)に見えて異なる行動を発見する。彼女を含め他の同様の患者たちの病歴を調べると、子ども時代に「嗜眠性脳炎」にかかり、後に現在のような症状が発したことを分かる。
 またセイヤーは、症状がパーキンソン病に類したものではと考える。そこでパーキンソン病の新薬(?)が、効くかもしれないと思いつく。上司から1名のみの治験を許され、十数人の同種の患者の中で最も若い(?)レナード(ロバート・デ・ニーロ)に適用される。
 少量の新薬を、経口投与されるレナード。しかし変化は出ず、セイヤーは消灯後こっそり大量投与する。病室でセイヤーが転寝から目ざめると、レナードのベッドは空。すると別の部屋に、紙に一心不乱に何かを書くレナードが居た。彼はセイヤーと会話し、自分の名を書いたとミミズが這ったような字を見せる。
 みるみる回復したレナードは、一見して普通の人と変わらない状態に。11歳ごろに症状が出始め、20歳で入院。以来30年、ずっと変化なしだったのが嘘の様。セイヤーはレナードの協力を得て、治験を拡大するよう病院を説得。同種の十数人にも、新薬を適用することに。
 他の治験者も、レナードの如く回復。数十年が経った環境変化も有って、悲喜こもごもの患者たち。しかし概ね、“目ざめ”を喜んでいた。やがて先んじてた回復したレナードは、独りで外出できない不自由を訴える。病院に諮るが許可されず、強引に院外に出ようとするレナード。だが力づくで抑えられ、それを境に従来なかったチック症・妄想症が出始める。
 レナードを見て、不安をいだく治験者たち。妄想も有って不信を強めたレナードだが、より症状が悪化していきセイヤーにすがる。むしろ悪化する自らを記録させ、「観察して学べ」とまで訴え……。
 奇跡の一夏が過ぎ、すべての治験者たちが元に戻ってしまった。セイヤーは諦めず、「脳炎後遺症患者」たちの新薬研究を続けるのであった──。

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2016年12月25日 (日)

ジョン・シュレシンジャー『マラソンマン』

 アメリカ映画『マラソンマン』(1972年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。前に紹介したジョン・シュレシンジャー監督の映画です。

 サスペンス(ミステリー?)だからって訳じゃなく、同じ監督・主演者(ダスティン・ホフマン)の『真夜中のカーボーイ』(1969年)より陳腐だったかなあ。少々がっかり。原作者および監督のルーツが、よく働かなかったとは思いたくないけど……。
 それとも凡庸・矮小さで、悪の陳腐を描こうとしたのかしら。ハンナ・アーレントが論じた如く……。

 ニューヨークに住む主役は、長距離走が趣味の大学院生。かつて亡き父が教鞭をとったコロンビア大学で、父が能くした歴史を学んでいる。
 主役の兄(ロイ・シャイダー)は、弟に自分は実業家であると告げていた。だが、実際は違うようだ。ロンドンで受け取った(?)絆創膏の小さな缶を、おかしケースの上げ底下に隠してパリで雑貨商に渡す。国際ビジネスマンに見せて、実に怪しい行為……。
 主役の兄が受け渡した缶は、ニューヨークで老人が貸金庫から取り出したものであった。それを何者かに秘かに渡した後、運悪く交通事故死する老人。ニュースは彼のことを、敗戦時に(?)死んだとされるナチス党員の兄であると報じるのであった……。
 老人の死により、狂いだした歯車。兄は身の危険を察知し、何者かに殺される雑貨商。やがて「影響」は、何も知らない弟──主役にも及んで……。

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2016年12月 4日 (日)

ティム・バートン『ダーク・シャドウ』

 アメリカ映画『ダーク・シャドウ』(2012年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。
 前に紹介しているティム・バートン監督の映画です。おなじみ、主演ジョニー・デップとのコンビネーションによる。

 『インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア』と比べると、相当もの足りないかなあ。もちろん、本作にコメディ要素(カルチャー/ジェネレーション・ギャップ)が有るせいではなく。
 主役の倫理観──行動原理にも、いまいち感情移入できない。現在の倫理観で測るべきではないけど、(アンジェリークへの対応は置いても)愛や家族の大切さを説きながら……ね。余韻を残したと言うより、投げっぱなしのエンディングも……。

 リバプール生まれの主役(ジョニー・デップ)。幼かった1760年、両親と共に北アメリカのメイン植民地(メイン州)へと移住。定住地を、漁業・水産加工で開発。豊富な財を得て、町一番の名家に。15年をかけ、港を見下ろす豪邸を建築。
 青年となった主役は、召し使い女性と愛人関係(?)に。母親の代からの召し使いで、長い付き合いらしい彼女。それゆえか、主役に愛をも求める召し使い。だが、身分ちがいも有って──だけじゃないと後に分かるが──すげなく断る主役。恨んだ彼女は、主役の両親を事故死させる。
 両親の死に不審さを感じ、黒魔術や古代の呪術について独学する主役。そんな中、愛する運命の女性と出会う。もちろん彼女も、捨てられた召し使いは許さなかった。主役の疑念は見当ちがいではなく、両親の死は召し使いの魔術によるものであった。ゆえに今度は、主役の愛する人を投身自殺へと追いやる。それを止められず、自身も身を投げる主役。
 しかし、主役は死ななかった。召し使い──魔女によって、知らぬ間にヴァンパイアにされていたのだ(知り合いのバンパイアに噛ませた?)。やがてヴァンパイア化が知られ(ばらされ?)、元召し使いが主導し住民たちに捕縛される主役。鉄棺(?)に入れられ鎖で封をし、地中深くに埋められてしまう。
 1972年。主役の一族と屋敷は、あれから200年弱を経ても存続していた。だが一族は落ちぶれ、屋敷・敷地は手入れ不足。家長である母と娘、家長の弟と彼の息子、あと召し使いら数人で細々と暮らしていた。そんなある日、夜間の(200年前は無かった?)道路ぞい地中工事で主役の棺が掘り出される。棺が開けられると、血に飢えた──でも滅びなかった主役が出現。工事夫たちから吸血。変わり果てた町を通り抜け、かつての我が屋敷へと帰還。落ちぶれた一族と屋敷を目の当たりにし、(直系ではない?)子孫たちに家の再興を宣言する主役であったが……。

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2016年11月27日 (日)

フランク・パヴィッチ『ホドロフスキーのDUNE』

 アメリカ映画『ホドロフスキーのDUNE』(2013年)を観ました。録画BDを知人にお借りして。
 アレハンドロ・ホドロフスキー監督および他スタッフ・関係者らへのインタヴューを主とする、ドキュメンタリー映画です。『ホーリー・マウンテン』(1974年)後に企画され、ホドロフスキーによって撮られるはずだった『DUNE』についての。

 84歳(当時)ホドロフスキーの、熱情と愛嬌に魅了される本作。ずっと楽しげに語っているのに、製作中止についての時の悲しそうなこと……。そりゃ、寡作になっちゃうよねぇ(笑)。
 インタヴューだけでなく、絵コンテ・設定画・イメージボード等の映像も。また、絵コンテを簡易アニメーション化したの。アニメーション『イエロー・サブマリン』を彷彿とさせる、トリップしちゃってる簡易アニメーションも(笑)。
 『DUNE』の映画化を、自ら提案したと言うホドロフスキー。原作どおりの映画化を良しとせず、改変を「原作を犯す(レイプ)」と例える言のらしいこと!PC的には、アウトだけど(笑)。

 「ドラッグと同じ幻覚を/トリップせずに見られる」、映画づくりをしていたホドロフスキー(なるほどね!)。そんな監督が『七人の侍』よろしく「魂の戦士」たる仲間を集めるも、撮影開始前に製作中止に追い込まれた『DUNE』。ちなみにホドロフスキー、映画を作る以前は前衛劇を演出してたそうな。
 『ホーリー・マウンテン』のヨーロッパでのヒットを受け、フランス人プロデューサに映画づくりを誘われパリに。脚本を(独りで?)書き上げ、メビウスを(実作業の)最初の仲間に。メビウスが人物/衣装をデザインし、二人で絵コンテを描き上げる。ハリウッドに行き、ダン・オバノン──後に『エイリアン』の原案・脚本を担当──を特殊効果担当として2番目の仲間に。
 宇宙船のデザインは、イギリス人SFイラストレーターのクリス・フォス。本作の象徴イラストとも言える、サイケデリックな双胴の宇宙船イラストも素晴らしい。ハルコンネン家のアート・デザインは、オバノンと同じく『エイリアン』で名をはせるH・R・ギーガー(2014年に亡くなったのね。撮影時は可愛らしかった!)。ギーガーを、なんとダリが推薦したと言う。
 音楽には、ピンク・フロイドら。出演は、サルバドール・ダリ(銀河皇帝)、オーソン・ウェルズ(ハルコンネン男爵)、ミック・ジャガー(後にスティングが演じたフェイド・ラウサ)らの了承を得る。しかし予算規模の膨張(1500→2000万ドル)も有って、(ホドロフスキーWikipedia記事によると)ハリウッドが配給を渋り製作中止に……。
 映画化権は譲渡され、後にデヴィッド・リンチ監督が映画化。息子にうながされ尻をたたかれ渋々同作を観たホドロフスキーは、すぐれた監督であるリンチらしからぬ出来の悪さ(エスプリ!)に、ついつい嬉しくなったと(笑)。自分と同じく映画会社に掣肘され、思い通りに作れなかったのだろうと擁護しつつ……。

名匠ホドロフスキーが耳をすませ続けて生まれた映画『リアリティのダンス』とは - AOLニュース
http://news.aol.jp/2014/07/11/dune/
↑記事末の第二回リンクは、「http://news.aol.jp/2014/06/20/dune/」が正しいURL。
アレハンドロ・ホドロフスキー
http://www.jodorowsky.be/
↑パリ永住(?)日本人による、ホドロフスキー公認サイト。インタヴュー記事が興味ぶかい。誤字が多いけど(笑)。

# ホドロフスキーの映画は、昔『エル・トポ』だけ観ました(他のも観たかった)。オカルトならぬ「カルト」なる言葉を知ったのも、『エル・トポ』『ホーリー・マウンテン』への言及を通じて。あの裸の子ども(監督の息子)の、50歳を過ぎた姿を見られるとは……(現在も格好よかったけど)。

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2016年11月20日 (日)

ジョージ・ミラー『マッドマックス 怒りのデス・ロード』

 オーストラリア/アメリカ映画『マッドマックス 怒りのデス・ロード』(2015年)を観ました。録画BDを知人にお借りして。

 一般層(?)・シネフィル共に高評価だった本作。期待しすぎたせいか、ちょっと拍子抜けでした。『マッドマックス』シリーズを、初めて観たせいか知らんけど……。
 バカバカしさ──V8信仰(?)・母乳の搾乳・貞操帯・火を噴くWネックのギター等と、シリアスの混淆は悪くなかった。言及されるフェミニズムに関しては、しいて言えば「男並み」に見えなくもなくて……(わたしは、「男並み」「性“区別”」ともに“ほぼ”否定派)。
 主役のマックス(トム・ハーディ)が、30分近く活躍しないって凄いね(笑)。フュリオサ(シャーリーズ・セロン)も、事実上の主役なんだろうけど。
 (少人数だけど)エクゾダスや「潮の湖」など、“彼の地”の辺りを思わせます。終盤の行く先変更も……。

# 両手を組んで指を伸ばし掲げるポーズは、V8エンジンを表してるのね。コルベット等アメリカ車と並んで、V8じゃないフェアレディZ(のボディ架装)もいたけど。
# あと、『ウォーターワールド』と見比べたいかも(笑)。

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2016年11月13日 (日)

グレッグ・モットーラ『宇宙人ポール』

 アメリカ/イギリス映画『宇宙人ポール』(2010年)を観ました。BSプレミアムでやっていたので。

 新鮮さは皆無だけど、ウェルメイドで面白かった。シリアス及びコミカルの混淆も、丁度いい塩梅で。『SUPER 8』とは逆に、恋愛は要らんと思ったけど(笑)。
 『ギャラクシー・クエスト』に近しい物語構造。『GC』と同様、元ネタ──本作ではUFOエピソードを知らずとも楽しめる(知ってれば、なお面白い?)。『GC』は大まじめがコミカルに見え、まんまコミカルな本作とは違ったけど。また『GC』にも出ていたシガニー・ウィーバーさんは、本作では少し勿体ない感じでしたが……。

 イングランドからアメリカに旅行に来た、青年晩期(?)ナード男性二人──SF(スペース・オペラ?)作家と相棒のイラストレーター。サンディエゴでは、コミコンに“客として”参加。その後、RV(キャンピング・カー)を借りてUFOスポット各所を目指す。
 何ヶ所か巡り、エリア51ご当地に到着。ロズウェル便乗(?)飲食店で、大いに楽しむ二人。だが地元男性2人に因縁をつけられ、そそくさと退散。その際に焦って、因縁相手のと思しい黒ピックアップ・トラックにRVをバックさせ接触。
 因縁相手の追走を恐れ、夜道を飛ばす二人。やがて、彼らのRVに迫ってくるヘッドライトが。振り切れず追い抜かれると、相手はピックアップトラックではなく黒セダン車。そのセダン、追い抜きざま単独で大クラッシュ。RVを止め、セダンを覗く二人。車内は無人。しかし、二人にフランクに語りかけるグレイ型エイリアン──自称「ポール」が現われて……。

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