2009年11月20日 (金)

GAMBLE FISH14

Gamblefish14 青山広美(原作)/山根和俊(漫画)『GAMBLE FISH14』(少年チャンピオン・コミックス)を読みました。前に紹介している漫画の最新巻です。

 最後の一話分を除き、「ギャンブラー世界一決定戦」一回戦第二試合の続き。女性同士で二対一の、サイコロによるブラックジャック。
 水着姿で各々の水槽に浸かって勝負し、バーストすると超えた数だけ「ヨガリウオ」を入れられるルール。足の角質を食べてくれるドクターフィッシュを思わせる小魚が、呼称どおりの効能をもたらしてくれました(笑)。

 しかし本巻の対決は、いまいちだったなあ。心技体を尽くすエクストリームというよりも、とんでも必殺技や超自然現象もどきを起こさんがための、ど根性ウエイトが大きかったので……。

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2009年11月18日 (水)

湾岸MIDNIGHT C1ランナー1

Wanganmnc1r01 楠みちはる『湾岸MIDNIGHT C1ランナー1』(ヤンマガKCスペシャル)を読みました。前に紹介している漫画の、スピンオフ(?)シリーズですね。二・三回ぐらい発売延期され、ようやく出ました(笑)。

 表紙絵は、アキオに代わる(?)主役級の乗り手とFD型RX-7。理屈抜き・感覚重視の、天才型の初心者。
 ほかの登場マシーンも、スカイラインGT-RやS2000など絶版車ばかり。うーん……(笑)。
 本家から引き続きのキャラクターは、FDマスターおよびショップRGOの関係者たち。RGOお嬢のリカコは、落ち着いちゃってます。すっかり姉さん(笑)。

 まあ、本家と同じテイスト。本家主役のアキオが人物的に上がりきっちゃってるので、新たに成長する人物を立てたんでしょうね……。

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2009年11月16日 (月)

パリは燃えているか

 フランス/アメリカ映画『パリは燃えているか』(1966年)を観ました。BS2でやっていたので。

 第三帝国ドイツ占領下のパリ武装蜂起・解放を描いた、歴史ドキュメンタリーのような映画ですね。“ような”というのは、名も無き人々のフィクションと思しきシーン──さも実際にありそうな──によっても、歴史を描こうとしていた点が。
 基本は名のある人々──占領軍司令官・レジスタンス幹部・亡命フランス軍/連合軍幹部など仏米の超大物役者(ジャン・ポール・ベルモンド、アラン・ドロン、イヴ・モンタン、カーク・ダグラス、オーソン・ウェルズなど)により演じられた──が主要人物ですが、誰が主役でもないし、群像劇とも言いがたい。
 よって、単純に面白いとは言えません。しかし、約2時間45分の長尺を飽きもしません。イギリス映画『空軍大戦略』(1969年)ほど劇的ではなく、日本映画『日本のいちばん長い日』(1967年)ほど淡々としていない。自嘲的でいて、かつ自負心に溢れた映画でした。パリの解放は、フランス人の力に“も”よったという──。

 1944年8月。ドイツ占領下のパリ。連合軍はノルマンディー上陸を皮切りに、ようやく東へと進軍を始めていた。それに呼応したパリのレジスタンス各派は、連合軍のパリ到着を待ちきれずに武装蜂起してしまう。
 市役所などの、奪還に成功するレジスタンス。しかし全面解放とはならず、占領軍も兵力が足りず、両者間で休戦協定が結ばれる。
 膠着による消耗はレジスタンス側に不利なので、ある派の密使が進軍する連合軍へと送られる。進軍計画ではパリは通過となっているが、それを覆させるためにと……。

 実際の映像らしきものも、自然にシームレスに挿入されています。そのもの残虐な実映像──銃撃“されてる”人々とかは、さすがに使われてませんけど。
 映画として印象的だったのは、占領軍司令官がパリ解放間際に重要施設──政治・行政・生活・文化などの──を爆破できたのに、それをしなかったことを淡々と描いてたこと。それ以前の悪行(?)と、過度に対置したりせずにね。

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2009年11月15日 (日)

ガンジーの危険な平和憲法案

Gandhic C・ダグラス・ラミス『ガンジーの危険な平和憲法案』(集英社新書)を読みました。
 著者は、1936年サンフランシスコ生まれの政治学者。元津田塾大学教授で、本書も日本語で執筆してらっしゃるようです。基とした自身の論文──2004年インド研究招聘に際しイギリス語(?)で執筆された──は、津田塾大学の(ラミスさんのじゃない)ゼミナールで訳されたそうですが。

 約190ページかつ文字ぎっしりじゃないので、スルッと読めます。でも、内容は新鮮で素晴らしかった。ガンディーについて、映画ぐらいでしか知らなかったせいか(笑)。
 肝心の憲法案自体は、核心の抜粋(?)で六ページのみ。しかし前後の記述を読めば──如何なる言動・思想・(当時の)インドの現実から如何なる国を形相しようとしたのかを知れば、それでも必要充分な質・量だったのだと想像されます。

 インド独立に際しガンディーの憲法案は、ネルーを始めとする国民会議で一顧だにされなかったという。国民会議メンバーは、軍・警察力を擁する一般的な主権国家を作ろうとしていた。しかしガンディーの案は、まったく違っていたので……。
 ガンディーは、村単位の自治──自給自足の回復を目指していた。強力な中央政府を設けず、村や更にその上には、命令せず監視やアドヴァイスのみを行う階層組織を考えていた。インフラストラクチャーなど村単位では成しえないことは兎も角、基本は治安・調停・教育・医療など村内で完結するようにと。
 広大で膨大な人口が、都市部を除き多数の小村に分かたれていたインド。連合王国の植民地経営を可能たらしめていたのは、インド人自身が協力していたからだとガンディーは理解した。宗主国の物を買い、宗主国の法/教育体系などを受け入れ、植民地軍へと募られたインド人(プランテーション農業も?)。ゆえにジェネラル・ストライク──全般的非協力が、軍事的抵抗より効果的と考えたガンディー。実際そのようにして、独立は勝ち取られた。
 独立の手段としてだけでなくガンディーは、インド人によっても上位集権構造の主権国家が設立されれば、末端の個人は植民地支配と同様に旧悪から逃れ得ないと考えた。中央集権構造が無ければ、外国が武力をもって支配することもできず──いまのアフガニスタンやイラクの様に?──、国家常備軍も不要であろうと。

 独立が現実となり(後の)中央政府から排除された──新政府構想やパキスタン分離の不可避を知り身を引いたガンディーであるが、国内紛争地のヒンドゥー・イスラーム双方を訪ねて回り、身を挺して実際に調停をなしえていた。
 その現実的な影響力ゆえに、“狂信的ではない”ヒンドゥー教徒により暗殺されたのだという。反イスラーム融和のためではなく、“普通の”国家建設を願う愛国者によって……。

 映画『ガンジー』の最初のシーンは、大規模なガンディーの葬送の列。それは、新政府から丸投げされた軍部によるものであったのだと。遺骸は、軍事車両に乗せられて。非暴力を唱えたのに、何たる皮肉。
 現代インド人の多くは、「国父」ガンディーが国軍を否定しなかったと思ってるそうな。ラムスさんによれば、現代日本人の多くが、憲法九条が自衛権を否定していないと思ってるように……(とラムスさん)。

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2009年11月13日 (金)

鋼の錬金術師パーフェクトガイドブック1~2

Hagarenguide0102 荒川弘『鋼の錬金術師パーフェクトガイドブック1~2』(ガンガンコミックス)を読みました。知人に頂いて。
 前に紹介した漫画のガイド本です。

 『1』(巻数表記なし)は、普通のガイド本ですね。見えない背景部分のような、踏み込んだ解説記事が少ない。作者インタヴューも、字数少なめ六ページだし。ヨーロッパ錬金術についての解説記事は、四ページながらも興味深かったです。
 目玉は、描き下ろしの外伝25ページですかね。これは、多次元世界的エピソードかしら?本伝に入る場所が、無さそうですが……。

 『2』は、『1』より作者インタヴュー(五ページ)・描き下ろし漫画(16ページ)ともページが減ってますね。人物紹介記事も減って、(劇中の)錬金術・組織・地理などの紹介記事が増えています。
 これを読んで思ったのは、「お父様」は西(チャイナもどきには東)の賢者なのかしら?ってこと。砂漠の古王国の出で、完璧な人造人間を何百年越しで作ろうとしてるのかしら……。

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2009年11月11日 (水)

鋼の錬金術師1~10

Hagaren0110 荒川弘『鋼の錬金術師1~10』(ガンガンコミックス)を読みました。知人にお借りして。
 アニメ版も観たことなく、漫画も初めて読みました。

 ウェルメイドで面白いですね。"sense of wonder"は無いけど。
 と言うか、簡素かつ端正な絵柄および随所に現れる軽妙な笑いが、エッジも露悪も丸めてしまってるんですね。良くも悪くも。それゆえにグロテスクさ──第二巻の人獣合成のような──で拒絶されず、錬金術のような擬似科学をも読みおおさせてしまう。しかし読みやすさと引きかえに、良い蠱毒も減殺されてしまうという──。

 10巻まで読む限り、円形の国土を召喚陣に見立ててるんですかね。黒幕組織は。それゆえ適時要所で量的な“贄”たる争乱を起こし、最後に質的な楔を打ち込む「人柱」を用意してるという──。
 本作でいう「真理」とは、「根源」や「アカシックレコード」なのでしょう。しかし漫画で描写されると、やはり陳腐に感じてしまいますねぇ。その絵柄もあってか。映像だったら、『2001年宇宙の旅』みたいな抽象イメージでごまかせますが(笑)。

# エドは何故、利き腕の右を犠牲にしたのかしら。左脚を無くしたので、身体バランスの問題かしら?等価交換とは思えんし……。

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2009年11月 9日 (月)

ルーシーの子どもたち

Lucyschildren SOUL FLOWER UNION『ルーシーの子どもたち』を聴きました。
 前に紹介しているバンドの、七月に出たシングルです。

ソウル・フラワー・ユニオン ニューシングル「ルーシーの子どもたち」 SPECIAL CONTENTS
http://www.breast.co.jp/soulflower/special/lucy-s_children/
web Rooftop ソウル・フラワー・ユニオン('09年8月号)
http://rooftop.seesaa.net/article/125133644.html

 スタジオ録音三曲と、ライヴ録音四曲(+タイトル曲のカラオケ)。
 スタジオ録音は、タイトル曲とジゲンさん(ベース)が主唱する「秋田音頭」。そして、前アルバム収録曲「パレスチナ」の新ミックス。
 ライヴ録音は、どれを何時・どこで録ったのか分かりません。ニューエスト時代からの二曲と、近年SFUからの一曲。加えて元メンバー“うつみようこ”さんがイギリス語で唄う、「ミシシッピ・ガッデム」のカヴァー。アメリカ公民権運動の、抵抗歌だったという。

 タイトル曲は、明示的メッセージは無いと思しき新曲。SFUロックンロール(ホーン入り)だけど、あんまり乗れなかったなー。「ルーシー」とは、あのアウストラロピテクスのこと。かと言って、「人類みな兄弟」みたいなことは唄ってません。
 民謡の「秋田音頭」は、三味線も入ったロック編曲。ジゲンさんの歌が、大変はまってました。

 持ち歌のライヴ録音は、いつもの如く良し。奥野さんの鍵盤が最高!
 うつみようこさんの歌唱は、あい変らずパンチが効いてて、ソウルフルでカッコ良かった!今年見たニュース番組では、銭湯ライヴに呼ばれて唄ってたけど(笑)。

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2009年11月 8日 (日)

<共和国>はグローバル化を超えられるか

Republicandglobalization J=P・シュヴェヌマン 樋口陽一 三浦信孝『<共和国>はグローバル化を超えられるか』(平凡社新書)を読みました。
 シュヴェヌマン氏は、フランス共和国の閣僚歴任者だそうな。その氏と樋口陽一さん(憲法学者)の公開討論「第五共和制五〇年と<共和国>のゆくえ」──2008年12月に日仏文化会館(恵比寿)で催された──の載録を中心に、二氏と三浦信孝さん(司会を努めたフランス研究者)の事前後の文章を掲載したものです。

 大きな新発見は無かったけど──現在フランスが第五共和制とは知らなかったが(笑)──、もろもろの再認識・再確認などがありました。
●「日本国」は立憲君主制ではない
 戦後の天皇は象徴であり、(権能の如何を問わず)正式の元首ではない。よって、立憲君主制ではないと。
●「市民」とは何か
 フランス革命を起源として定義すると、「市民とは、感受性を備え、さまざまな欲望や欲求をもち、自然権を享受する個人であるだけでなく、一般意思すなわち法の形成に参加する義務を意識した理性的個人である。」(P.74)なんだそうな。
●大臣というのは、口を閉ざすものだ
 シュヴェヌマン氏いわく、「大臣というのは、口を閉ざすものだ。口を開きたい時には辞任する」(P.90)だそう。閣内不一致の意見があるならば、辞職してから言うべきだと。
 それで三回も、閣僚辞任したんだそうな。
●初等教育の最重視
 「他人の助けを借りないで自分の頭で考え自分で判断できる能力を子供の中に植えつける」(P.95)ことだそう。
 ゆえに小学校教師は、「人為的に作成する人」の意で呼ばれるそうな。
●株主/市場主権のグローバル経済
 シュヴェヌマン氏いわく、「金融市場は人類の歴史の地平にはなりえない」(P.133)。
●「共和国」とは何か
 「あらゆる教条(ドグマ)の支配から自由な共通の空間における市民間の討議のこと」(P.211)だそうな。
●ただ乗り
 より日本に即した(?)樋口さんの率直な懸念──「自由な社会はただ乗りを許容する。」(P.211)。イエーリングの言を借り、千人の社会で百人・五百人がただ乗りしたら、乗るべき本体が無くなってしまうのではないかと。
 「市民」が大半を占めない「共和国」たりえない民主的な国は、ただ乗りを常態として認められないのではないかと……。(だから日本は、生活保護要件などが厳しい……訳ではなかろうが)

 日本が「共和国」になるのは、難しそうだねぇ。他者の主張を理解して、議論できないんだから……。
 目に見える(本来は)知的エリートの場──国会などが「共和国」たりえていれば、まだいいんですけど。「前提」と「演繹過程」を弁別し、(情緒ではなく)哲学をもって理解/主張できないんだから。

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2009年11月 6日 (金)

カブのイサキ2

Kabunoisaki02 芦奈野ひとし『カブのイサキ2』(アフタヌーンKC)を読みました。
 前に紹介した漫画の最新巻です。

 ピッツ・スペシャル(?)を駆る、新キャラクターが登場。イサキと同年代らしい、体内の排水タンクが小さい(笑)少女が。
 木更津に住む、黒髪ショートの少女。イサキに好意を持った様で、恋愛方面の展開があるかも(笑)。
 登場する木更津の巨大空港は、自衛隊基地址かしらねぇ。イサキらが居る横須賀市長井(相模湾側)の北にも、いまは自衛隊基地がありますが……。

 ピッツとは、アエロバティックス(曲技飛行)の上級機だそうな。離着陸が難しいんだとか。対する主役機(?)のパイパー・スーパーカブは、操縦性・安定性に優れた、素直な名機なんだそうな。「のんびり飛びたい時にお勧め。」──「シュナイダー6」(ネコ・パブリッシング)によると──だとか(笑)。

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2009年11月 4日 (水)

ゾティーク幻妖怪異譚

Zothique クラーク・アシュトン・スミス『ゾティーク幻妖怪異譚』(創元推理文庫)を読みました。創元社の出版物、買うの初めてかも(笑)。
 1932~1953年に発表された、地球最後の大陸「ゾティーク」を舞台とした物語。詩(巻頭の一篇)および小説16篇からなっています。作者はラヴクラフトと親交があり、「クトゥルフ神話」ものも書いたんだそうな。

ゾティーク幻妖怪異譚 - クラーク・アシュトン・スミス/大瀧啓裕 訳|東京創元社
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488541026

 すごく良かった。久方ぶりに、小説を読んで得したと思いました。
 簡潔にして流麗な文章。(解説を除き)約410ページで、翻訳ものとあって文字がぎっしり。読了まで相応に時間かかりますが、すんなりと読み下せる文章でした。文章で衒っている、(初期は除いた)『吸血鬼ハンターD』シリーズより読みやすい。翻訳も良いんでしょうね。
 「ゾティーク」全作品──収録17篇のタイトルは、下記のとおり。これらタイトルの二・三個以上にピンと来たら──気になったら、断然お勧めいたします(笑)。

「ゾティーク」
「降霊術師の帝国」
「拷問者の島」
「死体安置所の神」
「暗黒の魔像」
「エウウォラン王の航海」
「地下納骨所に巣を張るもの」
「墓の落とし子」
「ウルアの妖術」
「クセートゥラ」
「最後の象形文字」
「ナートの降霊術」
「プトゥームの黒人の大修道院長」
「イラロタの死」
「アドムファの庭園」
「蟹の支配者」
「モルテュッラ」

 はるか未来(?)の、太陽の輝きが弱まった世界。現在の東アフリカから南アジアに及ぶインド洋沿岸“弧”の地域やインドネシア群島が合わさって、地球最後の大陸「ゾティーク」が形成されていた。周りには島々もあり、(物語には出てこないが)南には現在とは別のオーストラリア島もあるらしい。
 現在の宗教は忘れ去られ、科学工業文化は微塵も無くなっていた。陸上は馬など、海上はガレーなどが移動手段。火薬も存在せず、武器・兵器はヨーロッパ中世以前の状態だった。
 科学文明の忘却に反比例して──弱まる太陽に比例してか、代わってゾティークでは魔術の長い歴史が積み上げられていた。誰もが能くはしないが、一部の人々/地域においては。
 なおも忌まわしいとされる降霊術(≒死体復活術)を、隠然と行う者もいた。あるいは、公然と行われる地もあった……。

 「降霊術師の帝国」は、あっさり淡々とした感じ。開幕の小説とあってか。二篇目の小説からはビンビン。「これで終わり?」ってのもあるけど(笑)。
 少なからぬ陰惨な描写・悲惨な展開も、こけおどしではない無駄を排した文章が素敵です。プロットは、さほど凝ってはいませんけどね。時には、起承転結をなしてなかったり。
 でも、いいんですねぇ。各文・各篇・全編、すべてが幻妖を綾なしていて。

 とか言いながら今まで、本格(?)幻想怪奇小説を読んだことがありません。それっぽいので読んだのは、小林泰三『玩具修理者』(←「クトゥルフ神話」風味?)とクリス・エヴァンス『鉄(くろがね)のエルフ』ぐらいかしら。有名どころはキング(の一部?)や「クトゥルフ神話」ものでしょうが(日本なら江戸川乱歩も?)、いずれも量が多くて手を出しにくいしね(笑)。
 でも、フィッツ=ジェイムズ・オブライエン『金剛石のレンズ』は読みたいです。『ゾティーク幻妖怪異譚』の翻訳者が、昨年に訳出されたものらしいので……。

金剛石のレンズ - フィッツ=ジェイムズ・オブライエン/大瀧啓裕 訳|東京創元社
http://www.tsogen.co.jp/np/isbn/9784488538026

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